優しい夜明け
作:麦CHA
「今日はこの辺で!」
ニヤリと笑って道路に寝転ぶのは、転ばなな。
「誰か転んでくれないかなぁ♪」
とっても楽しみな転ばなな。
しかし、昼になっても・・・・・
夕方になっても・・・・・
「なんで今日は人が・・・・・グスッ・・・・・うぇ〜ん」
転ばななは泣き出してしまった。
だって、転ばななの楽しみは人を転ばせること。
今日はちっとも楽しくない日。
力なくぐったりとしていた転ばなな。
そこに通りかかったのは・・・・・めで金。
「どうしたの?何か悲しいことでもあったの?」
めで金は転ばななを見つけると、優しくきいた。
転ばななはありのままを話した。全て。
「そうなの・・・・・かわいそうに。でも、気分を暗くしてはダメよ。もっと悲しくなっちゃうわ!」
めで金は大きな声で言うと、立ち上がった。
「さ、アナタもいっしょに踊りましょ♪」
めで金は踊りだした。とても軽快なリズムで。
見てるうちに、転ばななも踊りたくなった。
「♪ー・・・・・♪ー・・・・・♪ー!」
2人は踊った。踊り続けた。夜が明けるまで。
太陽が昇るまで。
空に?
ううん、違うよ。
転ばななの心に、太陽が昇るまで。
転ばななの心が、すっきり晴れ渡るまで。
転ばななは、気がつくと眠っていた。
きっと疲れてしまったのだろう。
でも、まわりにはもうめで金はいなかった。
転ばななは笑った。
悪戯な笑いじゃなかった。
とても素直で、素敵な笑顔をお天道様に向けた。
「ありがとう、めで金。」