※2006年〜2010年に投稿された100件の中から「おはなしオバケーター賞」に選ばれた作品です。
 

オイラの過去
作:びびみけ

オイラ、ポジティブ!皆からは、ポジティブ君って呼ばれてるんだぁ!

オイラ、生まれつきポジティブな鬼じゃなかったんだ。普通の鬼だった。オイラの過去、見てみる?

 

ある日の朝早く、鬼一家に新たな鬼の子が生まれた。その子はとっても怖い顔をしていたので、母鬼はその子を見て、ポジティブになってほしかったので「ポジティブ」と名づけた。

ポジティブ君が10歳になった時、とうとう一人前の鬼として親元を離れ、ひとりで生活していかねばならないということをポジティブ君に教えた。「わかった・・・」

ポジティブ君は、一人で家を出た。泣きながら、何度も何度も家族の方を振り返りながら。

母鬼は心配した。「大丈夫かしら・・・」

その訳はもう分かっている。それは、ポジティブ君の顔があまりにも怖すぎて、ビックリするどころか思わず固まって何のリアクションも取れないに違いない。

 

家族の元を離れてから、5年がたった。ポジティブ君は人を脅かそうとするものの、結局うまくいかず脅かせられない。

ポジティブ君は考えた。

「オイラの顔が怖いのは分かってる。でも、どうしたらいいのだ?」

       「そうだ!!」

「自分は鬼として人を脅かすのではなく、人のためになれる鬼になろう!」

ポジティブ君は、ポジティブになるために毎日鏡の前で笑った。そうしてポジティブ君は今の顔になったのだ。

 

どうだった?オイラの過去、わかったでしょ!

オイラは、今の顔で皆のネガティブさをポジティブに変えてるんだ!

ネガティブな君!今すぐオイラが行くから、君もポジティブになろうよ!!!