※2006年〜2010年に投稿された100件の中から「おはなしオバケーター賞」に選ばれた作品です。
 

My guitar is ………
作:†鳳凰†

弾けない、弾けない、弾けない!

何度練習しても弾けない。

こないだまで、思い通りに指を動かせてコードを押さえれてたのに…。

「何でだよ!」

「僕のギターを使いなよ」

「!?」

顔を上げると、アコギの姿をした変なのがいた。

「……オバケ?」

「そうだよ、僕はぎおたー。

僕のギターを使いなよ。僕のを使えば君は蘇るよ。」 

「……無理だ」

オバケが首を傾げる。

「お前はアコギだ、俺はエレキ。

使い慣れてないから、無理だ。

それにこのギターは………」

少し黙り、再び話す。

「俺の相棒だから…

人のギターにも人の力にも俺は頼らない」

ぎおたーは少し悲しい顔をして俯いた。

しばらくしてぎおたーは視線を少年に向けた。

「無理にとは言わないよ。

ただ、僕からのアドバイス。

スランプの時は無理に弾かないで別のコトをしてごらんよ。

きっとギターが恋しくなってもまた弾けるようになるよ。」

柔らかい笑顔を少年に向け、ぎおたーはどこかへ消えていった。

「………。」

しばらく、何も話せなかった。

そして一言、少年は呟いた。

 

ありがとう、と。