※2006年〜2010年に投稿された100件の中から「おはなしオバケーター賞」に選ばれた作品です。
 

メリークリスマス
作:美希瑠★+。

もうすぐクリスマス。

家の中にはもうクリスマスツリーをかざった。

私がとっても楽しみにしていたのが、

サンタさんからのプレゼント。

今年は頭にリボンのついたかわいいお人形

をお願いした。

サンタさんはママみたいに私の欲しい物が

分かるから、大好きだった。

あと3日でクリスマス。

今日はママとパパがお出かけにいくから、

弟とお留守番。クリスマスの前はいつもそう。きっとママとパパはお仕事が忙しいんだ。

弟はまだ2歳。

だから遊びに付き合うのはいつも私。

遊びといってもおもちゃの電車を、手で

動かすだけだけど。

ちょっと退屈だったから、私のお人形を

取りに行った。ちょっとだから、目をはなしてもいいよね・・・?

部屋から戻ると急に腹がたった。

私が大切にしていた本を、弟がやぶっていたのだ。せっかくママに買ってもらった

誕生日プレゼントなのに。今まで大切にしてきたのに・・・

私は思わず弟を押し倒した。

弟の頭がイスにあたった。

「ガシャン!」

弟は大泣きをしている。向こうには・・・

・・・・どうしよう。

ママの大切なコップを割ってしまった。

弟のなき声と、バラバラになったコップの

破片。私は泣きそうになった。

弟が本をやぶったから・・・

そうだ。こうなったのは弟のせいだ。

私は私に言い聞かせた。

でも・・・何なのか、

胸がズキズキするようだった。

 

 

 

 

帰ってきたママとパパはビックリした

顔をしていた。

割れたコップに、破れた本・・・

めちゃくちゃな部屋を見て、ママは言った。

「何があったの?」

私は「弟がやったの」と答えた。

ママとパパは顔を見合わせた。

何も言わずにママは部屋を片付け始めた。

弟をおこってよ・・・

悪いのは弟なのに、なんで怒らないの?

私は走って部屋に入って、ベットに座った

弟は怒ると泣くから?

そんな事を考えていると、知らずに寝ってしまっていた。

いよいよクリスマス。

まだあの事件の事が頭にあったけど、

忘れてしまおう。

クリスマスなんだから!!

毎年クリスマスにはプレゼントが家のどこかに隠してある。

わくわくしながらプレゼントを探した。

あった!

クリスマスツリーの下に2個のプレゼントが置いてあった。

私の名前が書かれたプレゼントをとろうとした。その時!

上から手が伸びてきてプレゼントを取った。

上を見ると、手足と顔がついたクリスマスツリーがプレゼントをもって立っている

・・・・・?!

弟も自分のプレゼントを見つけた。

でも弟はプレゼントを持っているのに、

そのクリスマスツリーはそれを取ろうとしない。

クリスマスツリーは私を見て言った。

「君は悪い子だからね。」

・・・?悪い子?

 

 

 

 

クリスマスツリーは言った。

「悪い子には、プレゼントをあげないよ」

私は後悔した。

きっとクリスマスツリーが言っているのは

あの事件の事だ。

私がしっかり弟を見ていなきゃいけなかったんだ。弟はまだ幼いのに押し倒してしまったり、弟がやった事にしたりしてしまった。

私は俯いていた。

そんな時弟がそばによってきて、

私に笑った。

あんなにひどい事をしたのに?

私はすごく反省した。

そしてクリスマスツリーに言った。

「ごめんなさい。弟のせいになんかして。」

するとクリスマスツリーは笑って、

プレゼントを返してくれた。

私はプレゼントをもったままママとパパの所にいった。

「ごめんなさい。本当は私が注意してなかったから、ママのコップを割っちゃったの。」

ママは笑っていった。

「実はママも悪いのは弟だけじゃないと思ったんだ。ちゃんと謝れたね。」

「えらいぞ!」

とパパも褒めてくれた。

私はとても嬉しかった。

家族全員でクリスマスパーティーをした。

一番楽しみだったプレゼントを開けると、

欲しかったお人形が入っていた。

謝れたのは、あのクリスマスツリーのおかげだ。ありがとう。そして

「メリークリスマス」